虚無感とFIRE目標を両立しようとして最初にぶつかる壁と、それでも続けるための考え方

うつで休職中、布団から出られない日がある。そういう日に限って、SNSを開いてしまい、活躍している人の投稿を見て、さらに気持ちが沈む。「自分は何もできていない」という感覚が、一日の終わりにどっしりとのしかかってくる。それでもFIRE(経済的自立と早期リタイア)という目標だけは、手放したくない気持ちがある。この記事は、そんな当事者としての実感を正直に書いたものです。

あらかじめお伝えしておきます。この記事は筆者個人の体験と考えをまとめたものであり、医療的な助言でも、投資助言でもありません。うつの治療や投資の判断については、主治医や専門家にご相談ください。

虚無感とFIRE目標が同居するとき、まず「自己否定の罠」に気をつける

休職中のある日、何もしないまま夜になった。ご飯を食べて、横になって、スマートフォンを触って、また横になる。それだけの一日だった。「今日も何もできなかった」という言葉が頭の中で繰り返される。

これは、自分の場合に限った話ですが、「何もできていない」という感覚は、実態よりずっと大きく膨らむことがあると感じています。体が動かないのは、意志の弱さではなく、うつという状態そのものの影響です。それを頭でわかっていても、気持ちが追いつかない日があります。

特に気をつけたほうがいいと思うのが、SNSを見るタイミングです。体調が悪い日の午後や夜に開くと、元気そうな人の投稿、資産が増えたという報告、FIRE達成の記事などが目に飛び込んでくる。比べるつもりはなくても、自然と比べてしまい、「自分はどうしてこうなんだろう」という気持ちになります。

これは「比較して落ち込む」という、休職中にとても起きやすいパターンです。自分がおかしいのではなく、そういう状況になりやすいのだと少しだけ距離を置いて見られると、少し楽になることがあります。

SNSとの距離の取り方として、自分の場合は「体調が悪い日はアプリを開かない」というルールを設けることが、何度か助けになりました。完璧には守れませんが、決めておくだけで少し歯止めになります。これが正解だとは言いません。人によって合う方法は違います。

虚無感の中でFIRE目標を持ち続けることは、傍から見ると「矛盾している」ように映るかもしれません。でも、当事者としては、この目標があるから踏みとどまっている感覚があります。目標そのものが「消えないための灯り」のような役割を果たしている、というのが正直な実感です。

ただ、そこにも罠があります。「FIRE目標があるのに、今日も何もできなかった」という自己否定の回路です。目標があることで、かえって自分を追い詰めてしまう。これが、休職中にFIRE目標を持つ人が最初にぶつかりやすい壁だと感じています。

対処として有効だったのは、「目標を持つこと」と「今日の自分を評価すること」を切り離すことです。FIRE目標は長期の話です。1000日後くらいまでの長い時間軸で見る話です。今日布団の中にいたとしても、それは「1000日間の1日目」に過ぎないという見方ができると、少し楽になりました。これも、自分にはそう感じられたという話であり、すべての人に当てはまるわけではありません。

うつの症状がつらいとき、消えてしまいたいような気持ちが浮かぶときは、一人で抱え込まないでください。主治医や専門機関、公的な相談窓口に頼ることができます。自分の気持ちを話せる場所を持っておくことが、長い道のりを歩き続けるための基盤になります。

虚無感とFIRE目標を持ちながら投資を続けるときに知っておきたいこと

FIREを目指すうえで、多くの人が取り組むのが長期・積立の資産形成です。数年前から少額の積立投資を始めていて、今も続けています。ただ、休職中に改めて感じたことがあります。それは、投資は元本が保証されるものではなく、価格は上がることも下がることもあるという当たり前のことを、体調が悪い時期に実感として受け止めるのが思ったより難しい、ということです。

相場が大きく下落したとき、体調が悪い状態で口座の評価額を見ると、普段より何倍もダメージを受けます。「やっぱりやめればよかった」「自分には向いていない」という気持ちが出てきます。これは自分の経験として正直に書いておきたいことです。

投資は、余裕資金の範囲で行うことが大前提です。生活費や、当面必要になるお金を投じてはいけません。これは制度の説明でも体験談でもなく、外せない前提として強調しておきます。

「暴落はラッキー」「安く買えるチャンス」という言葉を投資の文脈で見聞きすることがあります。長期・積立という文脈での一つの考え方として理解できます。ただ、これが万人に当てはまる正解かというと、そうではないと思っています。体調が悪い時期に評価額が下がり続けるのを見ることは、精神的に相当しんどい。それを楽観的に受け止めることができるかどうかは、その人の状況や心の状態によって大きく変わります。

自分の場合の工夫として、体調が悪い時期は積立の設定を下げました。「やめないこと」だけを目標にして、金額は最低限にした時期もありました。これが正しいやり方だとは言いません。ただ、「続ける」ためには「続けられる形にする」ことが必要だと感じた結果です。

積立投資を続けていくうえで使える制度(NISAなどの非課税制度)については、制度の詳細は変わることがあります。最新の情報は必ず公式の情報源で確認し、判断に迷う場合はファイナンシャルプランナーや金融機関の担当者など、専門家に相談することをおすすめします。この記事は投資を勧めるものでも、特定の方法を推奨するものでもありません。

また、口座の評価額を毎日確認することは、体調が悪い時期にはあまり良くないと感じました。数字を頻繁に見るほど、値動きのたびに気持ちが揺れます。「見る頻度を減らす」という選択肢は、体調管理という意味でも一つの手段だと実感しています。

FIRE目標は「早く達成しなければ」というものではない、と少しずつ思えるようになりました。1000日後くらいまで、長い目で続けることを自分に許す。それだけで、肩の力が少し抜けました。1000日というのは約3年です。3年後に何かが劇的に変わるという保証はありませんが、少なくとも「その日まで続けていた自分」は存在できる。そういう感覚で続けています。

FIREという目標は、「今すぐ完璧にやること」ではなく「長い時間をかけて育てていくもの」だと自分に言い聞かせることで、休職中でも手放さずにいられる気がしています。

虚無感とFIRE目標の間で、AIとの対話が助けになったこと

布団の中で一日を過ごした夜、誰かに話を聞いてほしいという気持ちが生まれることがあります。でも、深夜に家族や友人に連絡するのは気が引ける。SNSに書き込むのも、反応が怖い。そういうときに、AIに話しかけてみたことがあります。

最初は「機械相手に何を話しているんだろう」と思いました。でも、話しかけると何かしら言葉が返ってくる。「そうだったんですね」「それはつらかったですね」といった言葉が、ゼロよりはずっとましだと感じました。AIは、気持ちをとりあえず受け止めてもらう相手として、自分の場合には一定の助けになりました。

ここで必ず書いておきたいことがあります。AIは医師でも専門家でもありません。診断も治療も、AIにはできません。気持ちをいったん言葉にする相手にはなりえても、それが専門家の代わりになることは絶対にありません。うつの治療は、主治医のもとで行うものです。

AIとの対話でやっていたのは、「今日あったこと」「今感じていること」を言葉にすることでした。誰かに読まれるわけでもなく、評価されるわけでもない。ただ、言葉にすることで「今日の自分はこういう状態だったんだな」と少し整理できる感じがありました。これが誰にでも有効だとは思いません。自分に合ったと感じた方法の一つです。

AIに「FIRE目標について話す」こともありました。「今日は何もできなかったけど、積立は続いているから大丈夫」と自分に言い聞かせるように話すと、AIが「それは続けられているということですね」と返してくれる。その言葉が、自己否定のループを少しだけ止める効果があったと感じています。

また、AIとの対話の中で自分の気持ちを整理していると、「今日はこんなに落ち込んでいるから、主治医に相談したほうがいいかもしれない」という気づきが生まれることもありました。AIとの対話が、専門家への相談につながるきっかけになることもある、というのは副次的な効果として感じています。

繰り返しになりますが、AIは医療の専門家の代わりにはなりません。つらさが強いとき、消えてしまいたいような気持ちが浮かぶときは、一人で抱えずに主治医や相談窓口に頼ってください。AIに話しかけることよりも、専門家に連絡することを優先してください。

虚無感とFIRE目標を持ちながら「ゆっくり生きる」ことを自分に許す方法

休職中に気づいたことが一つあります。それは、「FIRE目標を持つ自分」と「うつで動けない自分」を、別の人格のように分けて考えていたということです。FIRE目標があるのに動けない自分を、もう一人の自分が責める。この二人がずっと戦っている状態でした。

これを少しだけ変えたのが、「どちらも同じ自分だ」という気づきでした。うつで動けない日があることと、FIRE目標を持っていることは、矛盾しません。目標を持つことと、今日の自分を許すことは、同時にできるという考え方が、少しずつ身についてきました。

具体的にやっていることをいくつか挙げます。まず、「今日できたこと」を一つだけ見つける習慣です。布団から出られた、水を飲んだ、積立の設定を確認した、それだけでもいい。何もなければ「今日も生きていた」でいい。これは医療的なアドバイスではなく、自分がやってみて少し楽になった個人的な工夫です。

次に、「1000日後まで続ける」という目標の立て方です。「FIRE達成」という結果ではなく、「1000日間、やめずにいること」をゴールにしました。1000日間の途中には、何もできない日が何百日あってもいい。でも、「やめない」だけは守る。この設定にしてから、少し気が楽になりました。

また、病気とゆっくり向き合うことを「遠回り」と思わないようにしています。治療や療養の時間は、人生の中で「無駄な時間」ではない。その時間があって初めて、先に進める体と気持ちが整ってくる。そういう見方ができるようになったのは、時間がかかりましたし、今でも完全にはできていません。でも、その方向に少しずつ向かおうとしている感覚はあります。

「無理なく生きる」ことは、目標を諦めることではありません。目標を持ちながら、自分のペースで進むことです。それは怠惰でもなく、弱さでもありません。

投資については、体調が悪い時期でも積立の自動化の仕組みを使っていれば、自分が何もしなくても設定した金額が動き続けます。「自動化されているから、今日は何もしなくていい」という状態が、休職中の自分には合っていました。ただし、余裕資金の範囲で設定すること、定期的に状況を確認すること(頻繁すぎない範囲で)は忘れないようにしています。

FIREという目標は、必ず達成できると保証されるものではありません。相場が変わることもある。体調が変わることもある。それでも「方向性として持ち続ける」ことに意味があると、今は感じています。

虚無感とFIRE目標についてのまとめ、休職中の自分に伝えたいこと

この記事で書いてきたことを、最後に整理します。

うつで休職中に「何もできていない」と感じる日は、本当に多くあります。それは意志の弱さではなく、うつという状態の影響です。体調が悪い日に自分を責める気持ちが生まれても、それが「正確な自己評価」というわけではありません。自分の場合はそうだった、という体験として書いています。

SNSを見て落ち込むことも、あって当然です。でも、落ち込みやすいタイミングがわかれば、少しだけ距離を置く工夫もできます。AIに話しかけることも、気持ちを言葉にする一つの手段になりえます。ただし、AIは医師でも専門家でもなく、うつの診断や治療はあくまで主治医のもとで行うことが大前提です。つらさが強いときは、専門家や相談窓口に必ず頼ってください。

FIRE目標については、「今すぐ達成しなければならないもの」ではなく「長い時間をかけて育てるもの」という捉え方が、自分には合っていました。1000日後くらいまでやめずに続けることを目標にすることで、今日うまくできなくても「続いている」という事実が残る。それだけで、今日の自分を少し認められる気がしています。

投資については、元本割れの可能性があること、価格は上下することを忘れずにいます。余裕資金の範囲で、体調に合わせて設定を変えながら続けることが、自分には現実的でした。制度の詳細は変わりうるため、公式情報を確認し、不安なときは専門家への相談をおすすめします。これは投資助言ではなく、個人の体験です。

虚無感とFIRE目標は、同時に持っていていい。矛盾ではない。病気と向き合いながら、無理なく、ゆっくり、それでも前を向いていく。そういう生き方を、自分に許すことが、長い道のりを歩き続けるための土台になると感じています。この記事が、似た状況にいる誰かの、ほんの少しの支えになれたら嬉しいです。

繰り返しますが、この記事は筆者個人の体験と考えをまとめたものであり、医療的助言でも投資助言でもありません。うつの治療については主治医に、投資の判断については専門家にご相談ください。

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