子育てとFIRE計画は両立できた、休職中の自分が気づいたこと

「子どもがいる自分には、FIREなんて無理な話だ」と、ずっとそう思っていました。うつで休職中になり、収入が減り、将来の見通しが立たない日々の中で、FIRE(経済的自立による早期リタイア)という言葉は、まるで別世界の話のように感じていました。

でも、休職中に時間ができたことで、今まで慌ただしくて向き合えなかったお金のこと、将来のこと、自分がどう生きたいかということを、ゆっくりと考える機会が生まれました。考えてみると、子育て世帯だからこそ見えてくる「自分らしいFIREの形」があるかもしれない、そう感じるようになってきたのです。

この記事は、うつで休職中の筆者が、子育てとFIRE計画にどう向き合ってきたかを書いたものです。医療的・投資的な助言ではなく、あくまで個人の体験と考えをまとめたものです。投資には元本割れのリスクがあり、価格は上下します。制度については公式情報で最新の内容を必ずご確認ください。

子育てとFIRE計画がなぜ「遠い話」に感じるのか

子どもがいる家庭でFIREを考えるとき、まず立ちはだかるのが教育費の壁です。子育てをしている方なら感じていると思いますが、教育費というのは、子どもの意思や選択によって大きく変わるため、先の見通しが非常に立てにくいものです。将来、どんな進路を選ぶのか、どんな習い事をしたいと言うのか、そういったことは今の時点ではわかりません。

だからこそ、「いくら貯めれば安心か」という数字が出せず、計画が立てにくいと感じていました。FIREを目指す場合、一般的には「生活費の何年分を資産として持てば仕事を辞められるか」という考え方をしますが、その「生活費」の中に教育費という大きな不確定要素が入ってくると、計算がまったく安定しないのです。

自分の場合は、うつで休職中という状況も加わりました。収入が不安定になると、毎月の積立がどこまで続けられるかわからなくなります。体調が悪い日は、家計の管理どころか、スマートフォンを開くことすら難しい日があります。そういう日に、老後の資産形成や教育費の計算をしようとすると、どっと疲れて布団から出られなくなることもありました。

投資の話を扱うSNSや動画を見ると、「こんなに積み立てました」「資産がこれだけ増えました」という話が目に入ってきます。それを見ると、自分はまったく違う地点にいるように感じて、落ち込むことがありました。でも、今は少しずつ考え方が変わってきました。比べる必要はないし、自分の状況に合ったペースで考えればいいのだ、ということに、休職中の今だからこそ気づけた気がしています。

子育て世帯にとってFIREが「遠い話」に感じる理由は、教育費の不確実性だけではありません。子育て自体に時間とエネルギーがかかるため、資産形成について腰を据えて考える余裕がなかなかないこともあります。毎日が目の前のことで精一杯で、数十年後の自分のことを考えるゆとりを持つのは、簡単ではありません。

それでも、「今の自分には無理」と完全に諦めるのではなく、「自分にとってのFIREとは何か」を問い直してみることが、実はとても大切だと感じています。FIREには一つの正解があるわけではなく、完全に仕事を辞める形だけがFIREではありません。働き方を変える、収入源を増やす、支出を見直す、無理のない範囲で資産を育てていくなど、子育て世帯には子育て世帯なりの「自分らしいFIRE計画」があっていいのだと、少しずつ思えるようになりました。

子育てとFIRE計画を両立するために考えてきたこと

休職中に時間ができたからこそ、自分なりに「教育費と資産形成をどう両立させるか」を考えてきました。もちろん、答えはまだ出ていませんし、これが正解だとも思っていません。あくまで自分の考え方として書きます。

まず、教育費と老後の資産形成は「別々の器に入れて考える」という発想が、自分には合っていました。近い将来に使う可能性のある教育費は、値動きのある投資商品には回さずに確保しておく、という考え方です。投資は長期的に時間をかけることで価格変動のリスクを緩和していく性質がありますが、数年以内に使う予定のお金を値動きのある場所に置いておくと、使いたいタイミングで価格が下がっている可能性があります。教育費はいつ使うかある程度の見通しが立てられるものを先に分けて確保し、それ以外の余裕資金で長期的な資産形成を考える、というシンプルな分け方が、自分にとっては一番わかりやすかったです。

次に、積立の金額よりも「続けられることを優先する」という考え方です。体調が悪い日が続くと、積立を止めたくなる気持ちになります。でも、毎月の積立を自動化しておくと、体調が悪くて何もできない日でも積立は動いてくれます。これは自分のやり方として「体調が悪いときは放置していい仕組み」として助かっています。もちろん、積立の内容が自分の状況に合っているかを定期的に確認することは必要ですが、毎日チェックしなくていい状態にしておくことが、精神的に楽になる一つの工夫です。

投資は元本割れのリスクがあり、価格は常に上下します。余裕資金の範囲で行うことが大前提です。休職中で収入が減っている自分は、積立金額をかなり小さくしています。「こんな金額では意味がない」と思う気持ちも正直ありますが、「続けていること」に意味があると今は自分に言い聞かせています。金額の多い少ないよりも、仕組みをつくって習慣にしておくことが、長い目では大切だと感じています。

NISA制度など、税制上の優遇がある制度を活用することは、多くの人にとって資産形成の一つの手段になり得ます。ただし、制度の内容は変更されることがあるため、公式情報で最新の状況を必ずご確認ください。自分も随時確認しながら使うようにしています。

子育て世帯でのFIREの形については、完全に仕事を辞めるフルFIREだけでなく、働く時間や場所を自分で選べる状態を目指す「サイドFIRE」や「バリスタFIRE」と呼ばれる形も、子育て中には現実的な選択肢として考えられています。子育てに時間を使いたいなら、完全に仕事を辞めるのではなく、週に何日かだけ働く形でもよいかもしれません。自分がどんな暮らしをしたいかをイメージすることが、FIRE計画の出発点になると思っています。

うつで休職中の今、「働けない状態」を経験して気づいたことがあります。それは、「働かなくて済む状態」と「働けない状態」はまったく違うということです。FIREは、働くかどうかを自分で選べる状態であることが核心にあります。そのためには、選択肢を持てるだけの経済的な基盤を、今の自分の無理のない範囲でつくっていくことが大切です。体調が戻ってから一気に動こうと焦るよりも、今できる小さな一歩を、自分のペースで続けていくことで十分だと、今の自分は思っています。

子育てとFIRE計画を考えるうえでの「自分への問い直し」

FIRE計画を考えるとき、ついつい数字ばかりを見てしまいます。いくら貯めればいいか、何年後に達成できるか、毎月いくら積み立てればいいか、そういった計算に入り込んでしまうと、体調が悪いときには思考がまわらなくて苦しくなります。自分は休職中にそれで何度かしんどい思いをしました。

そこで視点を変えて、「自分はどんな暮らしがしたいのか」という問いから考えるようにしました。FIREは手段であって、目的ではありません。目的は「自分らしく生きること」や「子どもとの時間を大切にすること」であったり、「体調に合わせた働き方をすること」であったりするはずです。その目的に向かって、どんな手段が必要かを逆算するほうが、自分には合っていました。

うつで休職中という経験は、決して誇れるものではないと感じる日もありますが、一方で「自分にとって本当に大切なことは何か」をゆっくり考える時間をくれたとも思っています。仕事一辺倒だったときには見えていなかった、子どもとの時間の価値や、自分の体調をいたわることの意味を、休職中に改めて感じました。

子育て世帯でFIREを考える際に、もう一つ大切だと感じることがあります。それは、パートナーがいる場合は考えを共有しておくことです。お金の話は家庭の中でしにくいと感じる人も多いかもしれませんが、FIREという長期の目標は、家族の方向性をある程度そろえておくことで、日々の選択がしやすくなります。完全に一致しなくてもよいのですが、「どんな暮らしをしたいか」くらいのイメージは、なるべく話し合えると心強いと感じています。

また、何もできない日があることも、自分を責める必要はないと今は思っています。うつの症状があると、気力がまったく出ない日があります。そういう日に、FIRE計画の本を読んだり、家計の管理をしたりすることはできません。そんな日は、ただ体を休めることだけを「今日の仕事」にしていいのだと、自分に言い聞かせています。命だけ守れれば、それで十分な日もある。そう思えるようになってから、少し気が楽になりました。

SNSで投資の成功話や教育費の管理術が流れてくると、自分の進捗が遅く見えて落ち込むことがあります。そういうときは、ミュートしたりアプリを一時的に使わないようにしたりすることもあります。これは「逃げ」ではなく、自分を守るための選択だと思っています。無理に直そうとしなくていいし、見なくていい情報は見なくていいと、自分に許可を出すようにしています。

つらさが強くなったとき、消えてしまいたいような気持ちになったときは、一人で抱え込まないでほしいと思います。主治医や専門機関、公的な相談窓口に話してみることが、自分の経験としても助けになっています。これはFIRE計画以前の話ですが、自分が安心していられる状態があってこそ、将来について考えられるので、健康であることが最大の資産だと感じています。

教育費の不確実性があっても、体調が万全でなくても、子育てとFIRE計画は「今の自分にできる範囲で考えていい」ものだと、休職中の今、やっと思えるようになりました。

子育てとFIRE計画を前に進めるための小さな実践

考えるだけでなく、今の自分が実際に取り組んでいることを、体験として書いておきます。金額などの具体的な数字は書きませんが、どんな考え方で動いているかをお伝えします。

まず、支出の「見える化」です。家計簿をつけることが目的ではなく、どこにお金が流れているかを大まかに把握することを目的にしています。体調が悪い日はそれすらできませんが、できる日に少し見直すだけでも、改善のヒントが見つかることがあります。見える化は、節約を強制するためではなく、自分の暮らしの優先順位を確認するためにやっています。やめても後悔しないものと、あると生活が楽になるものを区別する作業です。

次に、教育費の準備については「確実性の高い方法を優先する」という考え方をとっています。学資保険や定期預金など、確定した金額が積み上がっていくものを教育費の一部に使い、値動きのある投資は教育費とは別の枠で考えています。将来の教育費として使う予定のお金を投資に回してしまうと、相場が下落したタイミングで使わなければならない事態が起き得ます。そのリスクを避けるために、用途によって置き場所を分けることが大切だと感じています。

長期の資産形成については、自動積立を設定して「放置できる状態」にしています。体調が悪い日でも積立が動くことが、自分にとっては精神的に助かっています。ただし、設定したままずっと見直さないのではなく、体調がよい日に年に数回は内容を確認するようにしています。投資は価格が上下するものですし、自分の状況も変わります。都度見直すことは必要です。

FIRE計画は「完璧な計画」を立てることよりも、「変えていける柔軟な計画」を持つことのほうが大切だと感じています。特に子育て世帯は、子どもの成長によって必要なお金や時間の使い方が変わります。一度立てた計画に縛られるよりも、状況に応じてアップデートしていく姿勢が、長く続けるコツだと思っています。

FIRE計画の形については、完全に仕事をやめるフルFIREを目指す人もいれば、週に数日だけ好きな仕事をするサイドFIREを目指す人もいます。子育て中の今は、子どもとの時間を大切にしながら、将来の選択肢を少しずつ広げていく「準備期間」として捉えています。FIREという言葉にとらわれすぎず、「自分らしい生き方の選択肢を増やしていく」という方向で考えると、プレッシャーが少し和らぐ気がします。

体調が優れない日は、何もしなくていいと自分に言い聞かせています。計画が一日止まっても、一週間止まっても、取り返せない損失にはなりません。「できない日がある自分」を責めず、動けるときに少しずつ進める、それだけで十分だと今の自分は思っています。

子育てとFIRE計画のまとめ、休職中の自分が今感じていること

ここまで読んでくださった方の中には、「自分も似たような状況にいる」と感じた方もいるかもしれません。子育て世帯として、そして体調に不安を抱えながら、FIREという大きなテーマと向き合うことは、簡単ではありません。

子育てとFIRE計画は、「どちらかを犠牲にする」ものではなく、「自分なりのバランスを探していく」ものだと、今の自分は理解しています。教育費の不確実性は確かにありますが、それを前に「だから無理」と考えるのをやめて、「だからこそ、今できることを少しずつ積み上げよう」という方向に切り替えることが、精神的にも楽になる一歩でした。

子育てとFIRE計画に向き合ううえで、自分が大切にしていることを改めてまとめます。一つ目は、教育費と資産形成の器を分けて考えること。二つ目は、余裕資金の範囲で、続けられる仕組みをつくること。三つ目は、FIREの形は一つではなく、自分の暮らしに合った形を探すこと。そして、体調が悪い日は無理をしないこと。

投資には元本割れのリスクがあり、価格は上下します。この記事に書いていることは筆者個人の体験と考えであり、投資助言でも医療的助言でもありません。制度については公式情報で最新の内容をご確認ください。

つらいときは一人で抱え込まないでください。主治医や専門機関、公的な相談窓口に相談することは、決して恥ずかしいことではありません。それは自分を守るための、大切な行動です。

子育てとFIRE計画は、完璧にこなすものではなく、自分の今の状況の中で、できる範囲で考えていいものです。動けない日があっても、計画が止まっても、また動き出せる日が来ればそれでいい、と自分はそう思っています。

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