うつと買い物衝動の関係を当事者が語る、休職中のお金と心の話

うつで休職している筆者は、休職に入るまで「うつになったら衝動買いが増えるのだろう」とぼんやり思っていました。ところが実際に自分の支出を振り返ってみると、いわゆる「買い物衝動」はそれほど強くなかった。増えていたのは、食費だけでした。この記事は、そんな筆者自身の体験と、うつと買い物衝動の関係について調べたり考えたりしてきたことを、当事者の視点からまとめたものです。

同じように休職中で、お金の使い方が変わったと感じている方、あるいは自分の出費が気になって眠れない夜がある方に、少しでも「ひとりじゃないかもしれない」と感じてもらえたらと思っています。なお、この記事は医療的・金融的な専門的助言ではなく、あくまで筆者個人の体験と考えをまとめたものです。

うつと買い物衝動の関係を当事者として考えてみた

うつと買い物衝動の関係については、一般的にさまざまなことが言われています。インターネットで調べると、「うつ状態では衝動的な行動が増える」という情報もあれば、「エネルギーがなくて何もできなくなる」という話もあります。どちらも正しいのだと思います。うつという状態は人によってまったく異なる顔を持っていて、衝動買いが激しくなる人もいれば、筆者のようにほとんど何も買えなくなる人もいます。どちらが「正しいうつ」かということはなく、その人その人の状態に応じて、お金の使い方は変化するものなのだろうと感じています。

筆者の場合、休職に入ってから衝動買いをした記憶があまりありません。服を買いたいとか、家電を新調したいとか、そういう気持ちがほとんど湧かなくなっていました。エネルギーがないというよりも、何かに「ときめく」という感覚自体が薄れていたのかもしれません。好きだったものへの興味が薄れる、という症状を「アンヘドニア(喜びを感じにくくなる状態)」と呼ぶことがありますが、それに近いものを感じていました。何かを手に入れることへの欲が、以前ほどはっきりしなくなっていたのです。

たとえば、以前は新しいスニーカーのデザインを眺めてわくわくしたり、読みたい本をリストアップしたりすることが楽しみのひとつでした。しかし休職後は、ショッピングサイトを開いても何も目に入ってこない。「これが欲しい」という感覚が、霧がかかったように遠く感じられました。そのことが悲しいとも思えず、ただぼんやりと画面を閉じる、という日が続いていました。これはアンヘドニアの典型的な現れ方のひとつだと、後から知りました。

ただ、これはあくまで筆者一個人の体験です。うつと買い物衝動の関係は個人差がとても大きく、「衝動買いをしてしまった」「お金を使いすぎた」という体験をした方を責めたり、判断したりするものでは決してありません。つらい時期に出費が増えることは自然なことです。それを責める必要はありません。

一方で、うつ状態のときに衝動的な消費が増えやすい理由として、いくつかのことが考えられています。たとえば、気分の落ち込みを一時的に紛らわせようとする「感情調整」の手段として、買い物が機能してしまうことがあるという話があります。何かを買うことで、一瞬だけ達成感や高揚感を得られる。その一瞬が欲しくて、気づけばカートに商品を入れていた、という経験をする方もいるようです。また、判断力や衝動の制御にかかわる脳の働きが、うつの影響で変化することもあると言われています。

具体的には、前頭前野という脳の部位が、衝動の抑制や意思決定に深くかかわっているとされています。うつ状態ではこの部位の働きが変化しやすく、「これは本当に必要か」と立ち止まる力が弱まることがあるようです。だからこそ、衝動買いが増えた自分を「意志が弱い」と責めるのは、あまりにも酷なことだと筆者は感じています。脳の状態が変化しているなかで、それでも毎日を生きているということのほうが、ずっと大切なことだと思います。

繰り返しになりますが、筆者にとって「うつと買い物衝動の関係」は、衝動が増えるよりも、逆に何も欲しくならないという方向で現れました。どちらが「あるある」かという話ではなく、どちらの体験も等しくリアルなものだということを、最初にお伝えしたかったのです。

うつと買い物衝動の関係よりも食費が増えた、筆者の場合

では筆者のお金はどこに消えていったのか。振り返ると、ほぼ食費でした。

休職中、料理をする気力がほとんどなくなりました。料理という行為は、献立を考え、買い物をして、包丁を持って、火を使って、片付けをする、という複数のステップから成り立っています。健康なときは何でもないその一連の流れが、うつの状態ではそれぞれのステップで立ち止まってしまいます。「何を食べようか」と考えるだけで疲れてしまう日もありました。

具体的な場面を挙げると、冷蔵庫を開けて食材を見た瞬間に「これをどう調理するか」という思考が止まり、扉を閉めてベッドに戻る、ということが何度もありました。料理を「やる気が出ない」というよりも、「やるための回路が動かない」という感覚に近かったのです。包丁を持つことすら、どこか遠い話のように感じられる日もありました。

そんなとき、自分が頼ったのはスーパーやコンビニエンスストアの惣菜や、持ち帰りのできるお弁当、あるいはデリバリーサービスでした。「ちゃんと食べること」が自分にできる精一杯のセルフケアだったとも言えます。食べることだけは、なんとかしようとしていました。うつの状態では、体の土台を保つことが回復の一歩につながることがあります。だから食べることを自分に許していたし、今もそうしています。

デリバリーサービスを使う頻度が増えると、一回の食事にかかる費用は自炊の数倍になります。筆者の場合、月の食費が休職前の二倍近くになっていた時期もありました。数字にすると「使いすぎでは」と感じる方もいるかもしれません。しかし当時の筆者にとって、デリバリーのボタンを押すことは「今日も何とか食べた」という小さな達成でもありました。

おいしいものを食べると、ほんの少しだけ気持ちが和らぐ瞬間がありました。それが贅沢かどうか、という判断は今は置いておいて、つらい時期の自分がそこに救いを見つけていたことは事実です。スーパーで少し値の張る惣菜を選ぶこと、好きなお菓子を買うこと、好きな飲み物を用意しておくこと。そういった小さな「自分への手当て」が、一日をどうにか乗り越えるための助けになっていました。

うつと買い物衝動の関係を考えるとき、「買い物」の定義を広く持つと、食への支出も立派な「衝動的な消費」の一種になりうる。けれど筆者はそれを「衝動」とは呼びたくないし、責める気持ちもありません。食べることは生きることです。つらいときに食べることにお金を使っていた自分を、今のところ責める気にはなれません。

ただ、現実的な問題として、食費が膨らんでいることへの漠然とした不安はあります。今は傷病手当などの手当が出ている時期なので、日々の生活を続けることはできています。しかしこのまま支出が続けば、やがて手当の支給が終わる時期が来たとき、どうなるのだろうという気持ちが、特に夜になると頭をよぎります。その不安と、「今は食べることを優先しなければ動けない」という身体の声の間で、揺れながら過ごしています。

これは答えの出ない問いで、筆者自身まだ折り合いがついていません。ただ、少しずつ体が動ける時間が増えてきたら、自炊できる日をひとつずつ増やしていけたらいいなと、それくらいの気持ちで今はいます。「いつまでにこうしなければ」とプレッシャーをかけると、また動けなくなる気がして、ゆっくりと、自分のペースで、と言い聞かせています。

うつと買い物衝動の関係、「使いすぎた自分」を責めないために

この記事を読んでいる方の中には、休職中にお金を使いすぎてしまった、あるいは今もそれが止められないと感じている方もいるかもしれません。衝動買いが増えた、食費が増えた、必要かどうか分からないものをたくさん注文してしまった。そういう体験をしている方に、まず伝えたいことがあります。

それは、つらいときに自分を守ろうとしてお金を使うことは、弱さではないということです。人は追い詰められたとき、何らかの方法で自分を落ち着かせようとします。それが買い物であれ、食べることであれ、眠ることであれ、一時的なものであっても、その人がその瞬間に生き延びようとした証です。そのことを、まず受け止めてあげてほしいのです。

よくある失敗のひとつとして、「後でまとめて家計を見直そう」と思って明細を溜め込んでいたら、月末に一気に見て気持ちが崩れてしまった、というパターンがあります。筆者もやりました。クレジットカードの利用明細をまとめて開いた瞬間に、数字の多さに圧倒されて何もできなくなり、結局そのまま閉じてしまう。その夜は眠れませんでした。こういう経験をした方も、少なくないのではないかと思います。

だからこそ、体調が不安定な時期に「家計を正確に把握しなければ」と無理に自分を追い込む必要はないと感じています。もし明細を見ることが怖く感じるなら、今は見なくていい。大まかに「今月はこのくらい使っている」と頭の片隅に置いておくだけでも十分です。詳細な見直しは、少し余裕ができてからでも遅くありません。

とはいえ、現実的なお金の問題は続きます。手当の支給には期限があります。貯蓄は有限です。将来の見通しが立たないことへの恐怖は、夜になるほど大きくなります。筆者もそういう夜があります。その不安を「気にしすぎ」と笑い飛ばすことも、「大丈夫」と根拠なく断言することも、どちらも本当のことではないと思っています。

うつと買い物衝動の関係に向き合うことと、現実のお金の問題に向き合うことは、同時にやらなくていい。まず今日を生き延びることが先です。

お金の不安が強くなったとき、一人で抱え込まないでほしいと思います。自治体の相談窓口や、社会福祉協議会、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談できる仕組みがあります。生活が苦しくなってきたと感じたとき、「こういう窓口があるんだ」と知っておくだけでも、少し気持ちが楽になることがあります。もちろん、すぐに動ける状態じゃないかもしれません。それでいいです。知識として頭の片隅に置いておくだけで構いません。

また、気持ちがとても苦しくなったとき、消えてしまいたいという気持ちが出てきたときは、主治医や精神科・心療内科などの医療機関、あるいはお住まいの地域の相談窓口に、どうか連絡してみてください。一人で夜を越えようとしなくていい、ということだけは伝えたいです。

筆者自身も、不安が強い夜はメモ帳に気持ちを書き出したり、主治医に話したりしながら、なんとかその日を越えています。完全に解決できていることは何もありません。それでも、一日を終えられたことは、それだけで十分だと今は思うようにしています。

うつと買い物衝動の関係と、少しずつの見直しについて

先ほど、手当が出ている今はなんとかなっているけれど、いつかは食費を適正な範囲に抑えたいと書きました。ここでは、それをどんなふうに考えているかを少し書かせてください。

まず前提として、「適正な食費」という概念は人によって違います。一人で暮らしているのか、体調がどの程度回復しているのか、どこに住んでいるのかによっても変わります。だから「食費はいくら以内が正解」という話ではなく、自分の状態に合わせて少しずつ調整していくイメージを持っています。

具体的には、今は「動ける日に、できることをひとつだけやってみる」くらいの感覚でいます。たとえば、少し体が動く日に、日持ちするものを多めに買っておく。冷凍できる食品をストックしておく。電子レンジだけで完結するレシピを一品だけ覚える。そういった、小さな積み重ねを想定しています。いきなり「毎日自炊」を目標にしてしまうと、できなかった日に自分を責める材料が増えてしまいます。だから目標は、できる限り小さく設定することが大切だと感じています。

料理ができない自分を責めても、体は動きません。むしろ罪悪感がエネルギーをさらに奪っていきます。できないときはできない、それでいい。できる日が少しずつ増えていったら、その日に少しだけやってみる。その繰り返しを、焦らずやっていけたらと思っています。

また、食費以外の支出についても、急いで全部見直す必要はないと考えています。休職中は判断力が落ちていることが多く、焦って家計を見直そうとすると、かえってパニックになったり、消耗したりすることがあります。「今は休む時期」と決めて、細かい見直しは体調が安定してからにするという選択も、立派な対処法だと思います。

筆者が実際にやってみて少し楽になったのは、毎月の固定費だけを把握しておく、というやり方です。家賃、通信費、保険料など、毎月必ず出ていくお金の合計だけを確認しておき、変動費(食費や日用品)については細かく追うことをいったんやめました。固定費の合計が分かれば、手当から引いてどのくらい残るかがざっくり見える。その安心感だけで、夜の不安が少し和らぎました。完璧な家計管理ではありませんが、今の自分にできる範囲でのことです。

どうしても気になって不安が抑えられないときは、お金の専門家(ファイナンシャルプランナーなど)や公的な相談窓口に話を聞いてもらうことも選択肢のひとつです。自分一人で全部考えようとしなくていい。それはお金のことでも、気持ちのことでも、同じです。

AIに気持ちを話したり、考えを整理したりすることが助けになることもあるかもしれません。ただ、AIはあくまで話し相手として機能する部分はあっても、医師や専門家の代わりにはなれません。診断や治療、お金の具体的な判断については、専門家に相談することをお勧めします。AIを使うこと自体を否定するわけではなく、使い方を大切にしてほしいという意味です。

うつと買い物衝動の関係でよくある誤解と、知っておきたいこと

ここまで筆者自身の体験を中心に書いてきましたが、このセクションでは、うつと買い物衝動の関係についてよく見かける誤解や、知っておくと少し楽になるかもしれない視点を整理してみます。

まず、「衝動買いをするのはうつが軽い証拠」という誤解があります。つまり、「本当につらいなら何もできないはずだ」という考え方です。しかしこれは正確ではありません。うつにはさまざまな状態があり、一日の中でも波があります。朝は動けなかったのに夜に突然スマートフォンでまとめ買いをしてしまった、という経験をする方もいます。それはうつが「軽い」からではなく、その瞬間に気分が変動したか、あるいは衝動の抑制が難しい状態だったということです。

次に、「休職中にお金を使うのは怠けている証拠」という誤解です。これも筆者は強く否定したいと思っています。休職は遊んでいる時間ではなく、回復するための時間です。その回復のためにお金が必要なこともあります。体に合う食事を用意すること、気持ちを落ち着かせるための何かを用意すること、それは治療の一部といっても言い過ぎではないと思います。

うつと買い物衝動の関係は、「意志の強さ」の問題でも「道徳の問題」でもなく、脳や体の状態が変化している中でどう自分を支えるか、という問題です。その視点を持っておくだけで、自己批判の重さが少し変わるかもしれません。

また、回復の途中で「衝動買いが減った」「食費が落ち着いてきた」という変化が現れることがあります。それは体調が少し戻ってきているサインである場合もあります。逆に、体調が悪化したときに出費が増えることもあります。支出の変化を、体調のバロメーターのひとつとして、責めずに観察するという姿勢が持てると、自己批判が少し和らぐかもしれません。

最後に、もし「自分の消費行動が心配だ」「本当に衝動が止められない」と感じているなら、それを主治医に話すことも選択肢のひとつです。恥ずかしいことでも、大げさなことでもありません。生活の変化はうつの状態を把握する上でも重要な情報になります。医師はそういった話を聞くことに慣れています。話しにくければ、メモに書いて渡すだけでも構いません。

うつと買い物衝動の関係のまとめ、休んでいる自分を責めないために

この記事では、うつと買い物衝動の関係について、筆者自身の体験をもとに書いてきました。衝動買いが増える人もいれば、筆者のように食費だけが増える人もいて、どちらの体験も正しいし、どちらも責められるものではありません。うつという状態は一様ではなく、人によって、また同じ人でも時期によって、お金との向き合い方はまったく異なります。

よくある誤解として、「衝動買いをするくらいならまだ元気」「出費が増えるのは気持ちの問題」という見方がありますが、それはうつという状態の複雑さを見落としています。脳の働きが変化している中で、それでも毎日を過ごしているということのほうが、ずっと重要なことです。

うつの状態でお金の使い方が変わるのは、自分を守ろうとしている証でもあります。つらいときに自分にとっての「救い」にお金を使ったことは、弱さではなく、その時期を生き延びようとした力の使い方です。それを後から責める必要はありません。食費が増えていたとしても、衝動的に買い物をしていたとしても、それはその時点のあなたが自分を支えようとした結果です。

うつと買い物衝動の関係を正面から見つめるのは、体力も気力もある程度戻ってからで遅くはありません。今は、今日を終えることだけを目標にしていてください。

お金のことが不安になったとき、気持ちがとても苦しくなったとき、一人で抱え込まないでください。主治医や医療機関、地域の相談窓口、お金の専門家など、頼れる場所は必ずあります。すぐに動けなくても、知っておくだけでいいです。消えてしまいたいという気持ちが出てきたときは、必ずどこかに連絡してください。それだけはお願いしたいと思います。

筆者もまだ途中です。回復には個人差があって、波があって、「どのくらいかかるか」は誰にも正確にはわかりません。でも今日一日を生き延びたことは、それだけで十分な一歩だと、自分にも読んでくださった方にも伝えたいと思います。焦らなくていい。比べなくていい。今日のあなたのペースで、それだけで十分です。

最後にもう一度確認しておきますが、この記事は筆者個人の体験と考えをまとめたものであり、医療的・金融的な専門的助言ではありません。体や心のこと、お金のことで具体的な判断が必要なときは、専門家にご相談ください。

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